2020/07/17 16:00

なみだのしずく

少女はいった
深い深い森の中へ
埋もれていくように奥へ奥へ
足には枝が刺さり
赤い血が滲み出ていた
それでも構わなかった
少女はとにかく
向こうへ行きたかった

鳥はないた
木々はうたった
少女もないた
小さな窪地があった
ここにしよう
ゆっくりと腰を下ろした
少女は窪地に涙を溜めた
いろんな感情が地響きとなって
森の奥底へ伝わっていく
窪地は小さな池になった
蒼く光る池になった
ここにいれば大丈夫 そう思った
森を潤すことができるのなら
この気持ちも浄化できると思った
それはそれは綺麗な池になった
動物たちが集まるようになった
人々は綺麗だねと言って
ここに集まるようになった
森はにぎやかになった
そして少女は今日も
池の奥底で 息を殺して ないている