2020/07/17 15:59

いと うつくしき ひと

あなたの小さいながら力強い鼓動と
私の鼓動は撚りあうように重なりあった
この不規則なリズムにはあなたの声が託されているから
ゆっくりと耳を傾けてみる

あなたが 何の変哲もない 白い糸だったころ
わたしは 気づくことができただろうか
あなたが 柔らかな風の下で静かに揺らいでいたことを
わたしは 気づくことができただろうか

あの日 あなたとわたしは交わることができた
たまたま これは前から待ちわびていた
たまたま の日だった
細い光の粒が 連なった糸を たぐりよせて
運命的に交わることのできた三撚りの糸は
それまでの弱々しくて今にも切れてしまいそうな姿から
強い確実な意味を持たされた存在へと変化してゆく
そのとき 互いは生まれた意味を知り
生み出す意味を 見出そうとするのだろう

この吐息も この涙も
あなたを形成している排泄物なのだと
徐々に 想いという命が織り込まれ
薄い幾重もの層を包みこみ
これから訪れる
ほつれることのない日々を
あなたと紡ぎつづけてゆくのでしょう